今バンクーバーがどれだけエンジニアにとってヤバい街なのか書いてみる

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AmazonはバンクーバーにTech系人材3000人の雇用を目的としたアホみたいに広いオフィスを作り、Appleはバンクーバーのダウンタウンで最も活気あるストリートにデベロッパー専用オフィスを開設、Microsoftは既にデカいMicrosoftビルをバンクーバーのど真ん中に作ってるくせに更にもう一つオフィスを建てるし、バンクーバーで作られた皆大好きSlackも新しいオフィスをバンクーバーに作る予定、日本からだとFujitsuがAI関連の本社機能を持つオフィスを設立しと、人口たった60万人程度の街でこれらがおこっているわけです(東京930万人と比較すると1/10にも満たないという…)

他にもそうしたバンクーバー進出企業をまとめるとキリが無いのでこの辺の記事を見ながらやばさを痛感して頂ければと思いますが、今回の記事ではそんな街に至った経緯や理由などを僕の視点(見解/意見)を含みますが、僕が住んで来た12年を振り返ってダーっと列挙してみようかなと思っている次第です。

ぶっちゃけ今海外挑戦を志すとして、バンクーバーを選ばない理由がパッとは思いつかないくらいに勧めて良いとは思っているので、その先のアメリカ、ヨーロッパ、アジアを見据えたキャリアを思い描いているのであれば、とりあえずこの記事読んで、クビを激しく上下させて頂き、むち打ちにでもなりながら納得しといて頂ければと思います。

北米キャリアの登竜門だったバンクーバー

元々バンクーバーはその街にいる人材の優秀さで言えばカナダでもトップレベル、アメリカを含めた北米全土で見てもSoftware Engineerの枠で言えばサンフランシスコ、シアトル、オースティン、ボストンに次いで5番目に食いついている地域でもあったんですね。(Scoring Tech Talent in North America 2018 | CBRE)古くからの時代で言えばFlicker、今最近だとSlackなどでしょうか、そうした世界中で利用されてきたプロダクトを生み出してきた街でもあるのがバンクーバーなわけですし、UBC、SFUといった名だたる理系名門校の存在も大きいでしょう。

ただ悲しい事に、元々のバンクーバーは「優秀な人は多いけど、給料安い地域」という、僕らエンジニアサイドにとっては嫌なレッテルはついていたんですね。もちろん低いとは行っても北米水準なので、Software系のエンジニアで平均700万くらいは普通に超えてたわけですが、それでも水準としては低かった。

つい先日もカナダでは総選挙があったばかりなんですが、その時多少注目されていた論点の一つとしても『カナダの理系学生の25%相当がアメリカに流れている』という調査結果を受け、それらの高度技術者をどう引き留めるか、人材として確保するかという点も注目はされていました。(ちなみに選挙結果はリベラルが勝ったので、外国人である僕らにとってはまだまだ追い風です)

Tech CEOs call on political parties for better policy to drive Canada’s digital economy

ですが、考えても欲しいのが『安く優秀な人が雇える地域』という、企業側の視点で見れば良い事づくめで、バンクーバーは今までも人材獲得の場として超有力地域だったわけですよ。その地域性にいち早く目を付けていたのがFacebook、彼らは2013年時点からこのバンクーバーという街の特性を見抜いており、Temporary Office(一時的オフィス)なる特殊なオフィスを運営し、Tech人材のHubとしてこの街での役割を確立していたんですね。今思えば彼らはトランプ政権以前からアメリカのビザや人材獲得の波に危機感を抱いていたのかなと感じざるを得ません。(まぁ単純に優秀な人が欲しかっただけかもしれませんが)

そんなこんなで『バンクーバーは優秀な人は多いけど、殆どアメリカに流れていく、あくまで登竜門的な場所』というのがこれまでのバンクーバーだったわけですね。僕らはそんな地域背景に目を付けて、Frogという会社を立ち上げ、日本人にもこの流れに乗ってもらい、日本から北米進出、または国際キャリアのスタートラインに立って貰おうとしたわけです。

それが最近だと、当面のキャリアのゴールとしてバンクーバーを意識しているエンジニアが爆発的に増え、僕らへの問い合わせ内容も『バンクーバーでキャリアを積んだあと、SFやロス、国内ならトロント方面へ挑戦したいです』みたいなのが大半だったのが『アメリカで働けたので次はバンクーバーで…』みたいな話も良く耳にするようになってきました。(理由は後述しますが)

それらの影響もあってか、去年までの統計と比較しどうやら2019年はカナダ国内のエンジニアを代表とするTech人材の給与はカナダでもトップレベルにまで上がるらしく、今までの『優秀だけど安い』というレッテルも剥がれつつあるのかなと感じています。ただ、先に伝えておきますがこれは永住権を持っていない日本人には感じにくい部分だとは思います。そもそも仕事をするためのワークビザには様々な制約がついており、給与やキャリアを上げていくための転職プールに入れない留学生ステータスでは、これらの給与や待遇面での恩恵は感じにくいのは仕方の無い話でしょう。

Vancouver tech salaries now higher than Toronto and Montreal: study

まぁ、永住権保持者の目線で見たとしても正直な肌感覚としては「トロントより高い?嘘だろ?」という感じではあるので、この辺は要チェックなのかなと思っていますが、統計を見てるとその中でも著しく給与があがっているポジションはエントリー(新卒)レベルの人達。8.5%も国の平均より高いという事もあり、これからエンジニアとしてスタートするぞという人達にとって相当に魅力的な街であり、加えて今アメリカを含む北米全土で最もTech系の仕事が増加している街というのも実はバンクーバーという驚異的な事実も後押しし、ちょっと毛色が変わってきてる感をビンビン感じている昨今です。

Vancouver named top city in North America for tech job growth

この街がやったこと

バンクーバー住んで12年、ぼちぼち13年と、人生の1/3、社会人と呼べる9割以上の時間をバンクーバーで過ごしてきましたが、思い返せば試行錯誤の街だったなと思います。

僕が来た当初は、まだまだIT先進国とは到底言えない惨状で、政権的にもずっと保守派が牛耳ってた時代でもあったし、それまでの移民制度が見直されてきた真っ只中、ただカナダ全土を見渡してもコレといって強みと言える産業自体が薄かったように思える街でした。それがバンクーバーオリンピックを境に、様々な施策、制度の打ち出し、外国人や高度技術者の受け入れ体制の強化をめっちゃ頑張って今のバンクーバーが出来上がってきたんですね。そういう意味だとバンクーバーはオリンピックという世界中から注目される祭典を良く活用した方だなと思います。

移民法の変化はここで書くと論文が出来上がってしまうので割愛するとして、例えばSmall business venture capital tax creditという制度では、初期段階のTech系企業に投資をする際に投資学の30%をTax Creditとして還元される。つまり政府が株式取得単価の30%を持ってくれるという事で、投資するならBC州にしてね!とラブコールを送ったり、IDMTC制度ではIT関連の人材に対し払う人件費の17.5%を州が負担するとして、起業するならIT系頑張って!と嬉しい応援歌を歌い出したり、BCPNP Skilled Workerという移民カテゴリでは、もはやカナダで仕事に就けるレベルのエンジニアであれば、外国人?高卒?英語力?関係ないぜ!と大盤振る舞いしていたり(実際僕も高卒だし)と至れり尽くせり。

正直な見方としては、どうしてもアメリカがあそこまで移民、外国人に対しての規制、就労許可を厳格化したおかげで、今までアメリカで頑張っていた優秀なエンジニア達がカナダへ流れる事を見越し、様々な法案、制度を充実化していったようにしか見えず、Frog作った時は『これから海外で頑張ろうとする日本人の登竜門的な街として、バンクーバーは最適だよ』と唄っていたのが、最近だとキャリア上の(当面の)ゴールとして、バンクーバーを候補に入れる人も増え出してきたんですね。

根拠となるかはさておき、そうしたアメリカや日本からの本当に優秀なエンジニアの活動候補地としてバンクーバーを選ぶ声が高まってきたのと同時に、うちでもPEOという事業家、フリーランス向けの新しい渡航手段を事業化したばかりなので、興味ある人は連絡ください。

どんな人がバンクーバーで頑張っているのか

これはこの辺のインタビュー記事を見て貰った方が早いと思います。

が、総括してまとめるとここまで書いてきた様々なバンクーバー特有の背景もあり、すでに優秀なエンジニアもガンガンこの街で頑張りだしているのはもちろんの事、これからキャリアをスタートする人もガンガンバンクーバーからエンジニアやデザイナーとしてのキャリアをスタートしている事!

これ、他の国や街じゃなかなか考えられない事なんですよ。イギリス、アメリカ、欧州全土含め、ビザ面の難易度はもちろんの事、物価の高さや国の方針から見て、すぐにでも国外で仕事を始められるような、既にスキル、英語力共に相当レベルが高いか、または金銭的、環境的に恵まれている人でしか挑戦自体がそもそも出来ない事が多い。

というか他国の偉い人の立場で考えても、普通は優秀な人には来て欲しくても、そうじゃない人には来て欲しくないのが基本じゃないですか。だからビザなんかでフィルターをかけているわけだし。

それがバンクーバーの場合は、外国人であっても学生レベルのエンジニアに対して補助金を出してる上に、さっきも伝えた通り今アメリカを含む全北米圏で最も仕事の数が増えている事もあり、超ハイスペック経験者はGAFAなどの北米展開を目指し、それなりのスペックのある経験者はとりあえず年収800~1000万の年収と次のキャリアを目指し、業界未経験や英語力が低い人、またはスキルのリファラルの無い人でも、そういった支援金制度を利用して活路が開けるという、いつまで続くか分からないけれども、どういったステータスの人でも次のキャリアをイメージしやすい、今ノリに乗ってる時期という感じなんですね。

あとは冒頭でも軽く書いたよう、アメリカの西海岸からのIターン的な渡航の仕方。『アメリカ企業でがしがしエンジニアとして活躍していたけどビザやトランプ政権の都合で次のキャリアが見えないのでバンクーバーへ』という人達。

これ皆意外に思うかもしれませんが、例えばシリコンバレーでリモートワーク出来るだけのスキルがあったとして、シリコンバレーの企業にリモートワークでの仕事に応募してみたとして断られる確立が最も高い理由は”時差”です。これは実際にシリコンバレーで働いていたエンジニアの方数名の話を聞いての事ですが、冷静に考えると1000万とか2000万積んで人を雇うような企業が、時差とかそんなくだらない理由で貴重な1時間や2時間を無駄にしたいかと言えば、そんな分け無いんですよね。

なので、シリコンバレー、サンフランシスコなどITメッカの西海岸との時差も無く、ここまで打ち出してきた政治的、政策的背景からノリに乗っているバンクーバーへ籍を移し、時差が無く、人材確保が容易で、加えて生活コストが(アメリカと比べれば)安いバンクーバーに今注目が集まりまくっているというわけです。

というわけで、アメリカなんかでバンバンエンジニアしてるハイスペックエリートは勿論、これからエンジニアとして成長するんだという経験の浅い人間にまで門出を広げている街、それがバンクーバーなわけですね。これから国外でキャリアを積みたいと考えている人にとって、これ以上無いレアな街であるというのは間違い無いのでは無いかと思います。

急成長に伴う問題点

この記事を会社のプレス的な記事じゃなくて、個人で書きたかったのがここを含めたかったからなわけですが、当然ここまで急成長を遂げると良いことばばかりに目が向きがちですが、そういうわけでもありません。

特筆すべきは2点、ホームレスの超増加と、中国移民の超流入でしょう。

友人のエンジニアが日本に対してその警鐘を鳴らす記事を書いていたので、ここでも共有しておきます。いくら移民に寛容なバンクーバーと言えど、僕らは日本人という外部からやってきた人間なので、こうした事実からも目を背けるわけには行かないと思う次第です。

バンクーバー、増え続けるホームレス人口とその背景

実際13年近くこの街に住んできて、ホームレスの数は増加傾向にあると感じます。ただ、正直中国人口の増加は、政府も色々対策は練っているようですが歯止めが掛る気配はありません。『未来の明るい良い街になる』という事は、それだけ彼らの資金投入の矛先となるという事なので、こればかりは移民制度を厳格化して外国人という存在自体を拒否するしか無いでしょう。それは僕ら日本人にとってはあまり嬉しいことでは無い上、現状Amazon、Apple、Microsoftなど超大手の大企業を誘致している手前、どう考えても国内の人口で人員がまかなえるはずも無く、今後も移民の増加は2020年には341,000人規模で考えているとの事。これまでの目標値が300,000人とかだったので、ガンガン増やす気満々なわけです。

ですが、同時にホームレス問題を筆頭に街が抱える闇もあるのは事実なので、僕ら移民側がその街で出来る事というのを、一人一人が考えることも大事なのかなと感じています。

あともはや当たり前になりすぎて書き忘れていましたが、シアトルやシリコンバレーに習って欲しくない所ですが、家賃も相当上がってきています。

そもそも論として、その国が外国人である僕らを受け入れているのかどうなのか

で、これは留学生と呼ばれる全員に一度考えて欲しい問題だと思うんですが、そもそも自分達外国人がその国に必要とされているのかどうかという点については、一度冷静に考えるべきだと思います。

例えばドイツ、先日メルケル与党が反移民を主張する党に惨敗しましたね。アメリカは言わずもがな、トランプ政権になってからの移民に対する鎖国的とも言えてしまう制度の数々には、もはやあきれてる人も多い事かと思います。シリコンバレーからも外国人の技術者がどんどん流出しており、行き場を失った先としてカナダへの渡航を検討している最中です。というかもう来ています。イギリスもEU脱退の火種は反移民運動からだったように思いますし、難民と僕らは違うと言う人もいますが、普通に考えて現地の人から見れば同じようなもんですよね。

そういう負の部分を無視するわけにはいかないと思うわけです。

バンクーバーでも2017年に反移民、白人主義運動が起こり、当然外国人である僕も「あ、終わったな…」と思っていましたが、参加者の内約を見てみると参加者30名程度、そして同時に起こったカウンターデモで4,000人近い人数が集まり、人種差別を撤廃する流れが顕著となりました。

https://vancouversun.com/news/local-news/anti-immigration-rally-at-vancouver-city-hall

バンクーバーはまだこの移民と共に生きるという流れが今の所は主流な上、そもそもカナダという国自体、独立国家として認められたのは1931年とか、その辺のおじいちゃんと同い年なレベルでしかない上に、元々イギリス領であった事から外から来た人達なわけだし、歴史背景からも移民に対しては優しくならざるを得ない部分はあるのかなと感じています。

ただ、どういった理由にせよ自分達が住む国、街が、外国人である僕らを受け入れる体制や制度という物の存在は、次の僕らのキャリアを想像するためには必要不可欠な物であるとは思うのですが、留学相談に応じたりしているとよく「とりあえず行きたいからイギリス」とか「よくわかんないけどアメリカ」みたいな軽いノリで国外キャリアの登竜門を決めている人が多いのですが、自分達がどんな考えの街に住もうとしているのか、それらを無視することは出来ないんじゃないかと考える次第です。

まとめ

つまりバンクーバーで日本食に困る事は無いという事です。

https://www.tripadvisor.jp/Restaurants-g154943-c27-Vancouver_British_Columbia.html

あと、今日書いた内容は殆どFrogのTwitterを追いかけただけです。いつも更新してくれてるHideto氏にも感謝。

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