実は今年はこのブログを開設してからなんと10年目だったらしく、2年以上放ったらかしだった当ブログではありますが、今までお世話になった人たちへ、そして最近仲良くなった人たちに、あとこれから仲良くなる人達に向けて、ちょっとこの10年を振り返りつつ、僕が何をしていて何がしたいのかを一度ちゃんとと書いておこうと思い、とりあえず筆を取ることにしました。
ちなみに最近別でPodcastをしており、そちらも丁度1年目(50本目)ということもあり、これらの活動をきっかけに知り合った方も沢山居るので尚更こういうの書かないとなってノリです。
2年もブランクがあると、もはや書き方を忘れてる自分がいて早速絶望を感じていますが、とりあえずいってみましょー!
セナって誰か
このブログが多くの人に見られていたのは2014年から2017年くらいまでということもあり、恐らく今見てくれた方や知り合いになった方は僕のことをそもそも知らんって方も多いと思うので、改めて簡単に自己紹介をしておくと、僕はFrogという海外就職を目指すエンジニアやデザイナーの支援企業を運営している人です。
元々は今見ているこのバンクーバーのうぇぶ屋というブログで飯を食っていたのですが、次第に北米を目指すエンジニアやデザイナーとのつながりが深くなるにつれ、紆余曲折あってFrogという会社に姿を変えたというのがストーリーになりますかね。
一応ブロガー時代は過去記事のブクマ数でも見てもらえればそれなりに人気あったんだなコイツくらいには思ってもらえると思うのですが、色々あってブロガーを辞めました。一応どうしても書きたい記事が出来たときだけ筆を取る似非ブロガーに成り下がっています。
Frogって何か
過去数百名に上る海外就職者の情報を元に、スキル、ビザ、コミュ力の基準から海外進出のプランニング、現地でのサポートをしている会社です。どのレベルのエンジニアやデザイナーが、どういうビザのプランニングと交渉で、どういうリファレンスやどういうポートフォリオでどういう会社にどうやって採用されたかが情報として集まっており、スキルとリファレンスが合えば仕事も紹介しています。この1年で、起業家、フリーランス、役員クラスの人の渡航もPEOという制度でサポートするようになりました。
とりあえずカナダ(あとちょっとだけアメリカ)を目指すTech系の人であれば、使わない理由を探すのは難しいレベルの存在価値だと思っています。僕が海外出たとき「こういうのあればいいなー」を体現した会社なので、まぁそりゃそうなんですが。
一応インタビュー記事があるので、こういう人のサポートをしてると思って貰えれば良いです。Podcastの方でもいろんな人と喋っていますが、こっちは会社の活動とはほぼ関係無いプライベートな物なのであしからず。
とりあえず、日本人がもっと海外で活躍するようになれば楽しいのになって言うのを色々詰め込んだらこういう会社になったってイメージです。
バンクーバーから見る、日本人や日本企業の海外進出が致命的に遅い理由
まず、僕が14年住んだバンクーバーという地域がどんな街なのか簡単に知っておいてほしいと思います。
バンクーバーは現在Tech業界のハブ的な位置づけで注目されており、サンフランシスコの丁度真上、飛行機で2時間くらいの場所にあり、目をみはる勢いで成長している都市の一つです。
Vancouver third fastest-growing tech hub in North America as city adds 13k jobs: CBRE
Vancouver Named Top-Growth Tech City in North America
また国、州の取る政策も明らかに北米圏におけるTech人材の獲得に動いており、その最たる例がBC州の持っているBCPNP Tech Programの存在などが挙げられます。
こういったニュースが流れる以前(または直後)から、AmazonがバンクーバーのHistoricalな郵便局をまるごと建て替え巨大オフィスを建造していたり、その後AppleがそんなAmazonに喧嘩を売ってるとしか思えないオフィスをAmazonオフィスの目と鼻の先に作ることを計画したりと、まぁ賑やかでよろしいわけですが、同時に家賃の高騰などで頭を抱えなければならない一般市民な我らでもあります。
同時にスタートアップシティとしても最近はそれなりに頑張っており、2021年に入ってたった数ヶ月で既に7社のユニコーン企業を排出している街でもあります。これが人口たったの70万人程度の街で起こっており、東京が1400万人いることを考えるといかに特殊な街なのか分かってもらえるんじゃないかと思うわけです。
そんなTech業界全体で見ても非常に成長著しい街にいるわけですが、こういう街で10年も日本人の海外進出をあれやこれやサポートしていれば、思い至ることの1つや2つはあるわけで、今日はその辺りの話を僕の過去10年の経験を踏まえて共有させて貰えればと思っています。
中国企業の進出背景にあるコミュニティの存在
はじめに、アジアで北米進出を含め成功を収めている国があるとすれば中国が代表的だと思います。
彼らの成功要因は何かと問われれば、豊富な資金、人材、技術など、様々な面から理由をあげる人が居ると思いますし、それは間違ってはいないと思うのですが、ここではではちょっと別の角度から理由を考察してみたいと考えています。
海外進出を考える時、最も頭の悩ませるのは現地での人材確保です。そして、意外かもしれませんが、中国企業が北米へ進出してくる場合、現地では採用対象として現地に住む多くの中国人も対象にあがります。
もちろん彼らは現地の有名大学や工科大学、CS関連卒なのは当たり前として、文化、言語への適応も済んだ人たちです。彼らが採用されることで、更に次のコネクション、文化浸透、更には(ローカル人材への)コンセプトや目的の共有まですべてがスムーズに行われ、強いては現地のコミュニティにまでその影響力を伸ばしていくわけです。
バンクーバーを含む多くの有名大学で目にするアジア人の大抵は中国人ですし、中国コミュニティの強さについては先日、Podcastにも出演してもらったAmazonエンジニアさんの回でも取り上げたので、興味のある方は是非聞いてみてもらえればと思います。
僕がカナダに住み始めた10年以上前は、カナダやアメリカの大学を卒業する中国人の多くはそのまま現地企業で就職するのが当たり前だったと思うのですが、昨今ではむしろ母国へ戻る人のほうが多いんじゃないかと思うほど。個人的には今後中国人は母国のレベルが劇的に上がったことで、海外で学ぶ必要すらなくなるんじゃないかと思う程です。
日本のメディアなんかでは「中国企業の海外進出が盛んな要因は大量のM&Aが可能な資金力にあり、加えて迅速な決断力によって更に進出スピードが早い、日本もこの迅速な決断力を見習おう」といった話が取り上げられたりしますが、その日本企業の判断を徹底的に遅らせている理由の一つに、この『そもそも海外進出している個の絶対数に差がありすぎる』というのは、実は大きいのでは無いかというのが僕の考えです。
また、海外進出している個が少ないという点はスタートアップの資金調達にも影響があるのは明らかで、スタートアップ大国アメリカですらVC調達の半数近くは実はアメリカ国外からだと言われており、一方日本で国外からの調達出来ている企業は1%未満という話は有名ですね。日本の起業家は極端に国外からの調達、アピールが大の苦手にしている節があり、当然国外でビジネスの経験すらない、コミュニティに入るなんて論外というのが現状となるわけです。
なので、中国企業はとにかく海外に進出しやすい。(良し悪しの意見はあるにしても)先進国の至る所に自分たちのコミュニティを構築しているため、コネ、金、人、情報、その全てにおいての流れが充実している。僕がこっちに来た時、フリーランスになった時、会社を作った時、こういうコミュニティがあったとすればあんなに悩まずに済んだのにと、羨ましくて仕方がありません。
対して日本は
まずそもそも日本のTech企業(スタートアップ)のほとんどは海外に展開しようとは思っていません。日本の市場規模が中途半端にデカイせいで『まずはそこから』となるのが一般的。ただ、その感覚が最もグローバルから遠く、結局日本規模で立ち上げたサービスや物というのは、大半が調達額にしろ、その場で働く人材の質や数にしろ給与にしろ、マーケットの規模にしろすべてが日本規模になることが多く、そんなこんなしている間にスタートアップに最も不可欠な『優秀な人材』というのがどんどんと外資や国外企業に取られていき、起業する人たちにも国外経験やコネが皆無に等しく、調達先も自ずと国内にしか向かない。
しかし、いざ「海外進出するぞ!」となっても、中国のように国外で活躍している人材やコミュニティがそもそも極小なので、初期フェーズの人材獲得や資金調達、ローカライズでも大きく遅れをとる。
具体的に『何をするのか』『いくらかかるのか』『どうやるのか』『誰がやるのか』がほぼほぼ不透明な状態でスタートしなくてはならないから、結果として「行く意味なくね?採算とれなくね?」となってる所が多い気がします。
逆に中途半端に資金力のある大企業の場合(極一部を除いて)もっとタチが悪く、もはや遊び半分に近い感覚で国外に拠点を構え「うまく行ったら規模大きくしていこーよー」みたいなノリで日本から英語しか出来ない偉い人を送り込む。そんなノリで現地の優秀層が捕まるわけもなく、捕まったとしても日本にある本社の制約やら何やらがキツ過ぎてすぐ人が離れていくまでが一連のテンプレ。昔話した会社の中には「日本の本社社員以上に高い給与は出せない、メンツがある」みたいな理由で現地の給与帯を下げて閑古鳥が鳴いてる所なんかもありましたね
バンクーバーの場合も当然多くの国からスタートアップや企業が集まるのですが、もちろん彼らのバンクーバーに展開する理由の中には人材獲得があり、特に昨今のアメリカのビザ周りの問題はトランプ以降根が深く、その打開策としてカナダを見ており、結果として先に紹介させてもらったAmazonやApple、Microsoftなどのテックジャイアントなメンツを始め、多くの企業がバンクーバーにオフィスを開けまくっている。当然大企業のみならず、ユニコーンを目指すスタートアップを始め、最近だとアメリカで直接上場まで行ったような企業がバンクーバーでPEOという制度を使い人材獲得を進めており、一定以上の人数が集まったので正式にオフィスを開ける予定があるということで僕らの所にも人材採用の相談があったりもしました。
日本企業がその波に乗ろうとするかと問われれば、恐らくそういう波が来ていることにすら気づく機会が無いのが正直なとこで、現地で活躍する日本人も少なく情報が行き交わないので、文化や常識、知識のコンバートが出来ない、採用するための費用も出せない、調達するコネもパワーもない。日本から役員レベルを連れてくるも何をしたら良いかわからない、結果採算が合わず時間だけが流れ撤退。
もはやテンプレだなと思うわけですが、ここに中国レベルの日系コミュニティがあったとすれば、だいぶ話は変わったはずだと思うんです。
語学”留学”?
じゃあ現地で既に活躍する歴戦の猛者を、日本人の中から獲得していけば良いんだなってことになるのですが、残念ながら次は日本の留学システムにもはや欠陥と呼べる問題が存在しています。
その国のコミュニティを形成する場合、留学という形からその国を訪れる人が当然多く、留学を通してその国のエコシステムを知るわけですが、日本だと留学=語学留学が一般的で、中国や韓国で当然とされる正規留学(大学や専門教育を受けるために渡航する留学)が全く知れ渡っていない。語学留学と正規留学の間には信じられないくらいの差があり、その最たる部分が就労機会。
例えばバンクーバーの場合、2年間の専門分野に特化した公立校を卒業すると3年間の就労機会が与えられ、なおかつ就学期間の2年間もパートタイムであれば就労が認められています。当然語学留学生にはそういった特権は皆無です。
そして日本人の留学生と呼ばれる人々が年間8万人程度と言われており、その中で語学が目的だと答える人が7割。右を見ても左を見ても『英語、エイゴ、A5』であり、キャリアや技能、具体的な目的については二の次、三の次なのが現状なわけです。この話は是非『「語学留学は日本独特の留学形態である」を考察する : 若者を取り巻く状況と今後の変化』という論文でも議論されているのでそちらも参考にしてほしいと思います。
元々留学という言葉は「るがくしょう」と呼ばれ、当時命をかけて船にのり、海を渡り、それでもその地でしか学べないことを学ぶために海外へ渡る学術欲溢れる言葉であったはずなのに、今となっては『別に日本でやればええやん』の代名詞としてしか使われない語学留学がメインとして扱われているのは、個人的にはちょっと残念でならないわけです。
同じアジア圏ということで参考までに、バンクーバーに住む日本人と韓国人の人口を見て頂きたいのですが、2016年時点での統計でバンクーバーに住む日本人の人口は30000人なのに対し、正規留学などをメインに扱っていた韓国は既に52000人と既に大差がついています。(1981年時点では、日本人11000人に対し、韓国人3300人と圧倒的な差があったのにも関わらずです)※Wikipedia参照
これは「そりゃそうだぁ」としか言えず、語学留学生と正規留学生では、長期滞在するために必要なビザのポイントなどにすら雲泥の差が出ます。カナダという国全体から見ても、ぶっちゃけてしまえば語学留学生は全く必要とされていないのです。
日本と韓国では人口には倍以上の差がありますが、国際化という観点から見ればその差は逆転されてしまっているのがわかりますねー。
もちろん人生経験のためにとか、価値観を広げるためにと語学留学自体を否定するわけじゃありません。語学留学から有益な情報や経験に至った人も多く居るでしょう、ただ残念ながら、恐らくそれらの殆どは観光で十分な内容だと思っています。それなのに語学留学に数百万の予算をかけたり、一生に一度のオープンワークであるワーホリを他のビザと比較すらせず使ったりとするのが問題なわけです。
言葉の定義の問題かもしれないし、ちょっと考えが極端なのも自覚していますが、韓国や中国がバンバン正規留学が多いのに対しての日本なので、そもそもの海外渡航や留学に対する意識に差がありすぎるのは紛れもない事実だと思います。
とは言っても、日本には金がない
ただ、上で語学留学に対する批判をしておいてフォローするのもなんなんですが、今日本には『語学留学しか出来ない』という状況もあり、それが日本人の20代平均貯蓄額72万という数字に現れていると思うわけです。
72万だとどうしたって生活費合わせて語学学校2ヶ月行けばもう底を尽く金額で、語学留学が海外留学のメインになるのも仕方ないとは思います。もちろんただの平均ですし、親世代のサポートも含めるとまだまだあると思うかもしれませんが、外国人の大学入学に対し、どれだけ頑張っても数千万の予算が必要なことを考えるとそれでも現実的では無い。
一応日本には今トビタテJapanだったり、国民金融公庫の低金利ローンなどもあるにはあるんですが、以前ウチからトビタテ制度を使ってエンジニアとしてバンクーバーへ渡航しようという方がいたのですが、渡航先がバンクーバーだからという理由(?)で却下されてしまい、時を同じくしてほぼ同じ内容でアメリカへの申請が一発で通るという、審査基準には疑問が残る内容があったりしました。トビタテを使う世代にとっていきなりアメリカというのは、大変良い刺激にはなってもキャリアにはつなげにくいと、僕自身の経験からは考えます。
ちょっとググるだけでバンクーバーもTech Cityとして意味のある街だということは理解もらえると思うんですが、トビタテの制度自体は素晴らしい物であっても、審査側の判断基準にも物は言いたいし、やっぱり制約が大きい制度だなとその時は感じてしまいました(半分八つ当たり入ってますごめんなさい)。
教育ローンの方も、一般的な物で確か最大額300万とかそのくらいという話なので、いずれにせよ中国、韓国が行っているような正規留学からは大きく射程圏外なわけですね。
ただ、こればっかりは今すぐどうにかできる問題では無いので、トビタテのような国が支援する体制がもっと体系化するか、200万〜300万の中でキャリア構築する事例を増やしていくかの、どちらかしか無いと僕は思っています。
実際Frogを使って海外就職に挑戦する人の平均費用総額が大体250〜300万ほど、こういう仕事をしている中国系の話を聞くと渡航して仕事探すまでで1000万は当たり前に用意して来るのを見ると、この差ばかりはすぐにどうにかなる話じゃないなと思うわけですね。
結論:日本スタートアップの海外進出+その国にいる日本人(コミュニティ)の質と数=みんなハッピー
かなり無理やりな説だと鼻で一蹴してもらっても構わないのですが、僕が見ている限り中国のスタートアップも、数少ない日本の国外で成功しているスタートアップも、中を覗いてみると母国の人種がどう見ても多いし、その方が結果的にローカルの注目も集めているように見えます。
彼らはローカルで通用した能力は当然として、根付いたコミュニティ、コネクション、文化、技術が見についており、母国からの人材が経験している文化差や能力差、強み弱みを理解した上でそれらを前提としたコミュニケーションが取れるため、スムーズなローカライズを可能にしているように見えるわけです。
そのため、日本企業全体のグローバル化や海外進出をより促進するためには、まず日本人の海外就職の一般化とコミュニティの拡大が大前提で、その上で国外にいる日本人全体のレベルの底上げ、今ある語学留学が当たり前の状況からも脱する必要があると思っています。
起業家も同様で、中国、アメリカの何十分の一もない日本のVCに期待を寄せるのを当たり前にするのではなく(もちろんそれらも視野にいれつつ)、国外に目を向けることを当たり前にしてほしく、そのためには実際その場所に住み、ビジネスを育み、コミュニティに参加するのがどう考えても一番手っ取り早い。オンラインでなんとかなってるなら失われた20年だなんて言われていない。
そしてそのためには多くの国で日本人の進出をサポート出来るコミュニティが必要であり、ビジネス、キャリア、ビザ問題などを解決するため、それらの事例がもっと増えて欲しいなと思っています。
幸いこの10年でバンクーバーという一箇所に限って言えば、だいぶ理想に近い形が整いつつある上、今北米圏で活動し始める場所としてバンクーバー以上にうってつけの場所を探す方が難しいと思うので、そろそろこのノウハウを活かし次を考えたいなと思っている次第です。
何より悔しいのが日本人が優秀であるということ
これが日本人は別にそこまで優秀じゃないから無理と、一蹴出来るのであればそれはそれで楽だったのかもしれません。ですが、恐らく国外でキャリアを築いたことのある日系のエンジニアやデザイナーの誰もが一度は感じたことだと思いますが、日本人の専門技術者はやはり世界水準で見てもレベルが高い、仕事がしやすい、目的意識も(言語に関係なく)情報共有もしやすい。
明らかに能力的には他国と対等か、それ以上だと感じる瞬間が多いにも関わらず、起業家も技術者も日本を出ない、ニュースを付ければそんな優秀なはずの日本の衰退ばかりが報道され、シンプルに歯がゆい。
大体元々モノづくり/技術大国として知られていた日本が、これだけ専門技術やものづくりが必要な現代において、注目されない現状の方がおかしく、一度国外でキャリアを積むことが日本の技術者にとって当たり前になったとするならば、恐らく世界全体が大きく変わるであろうことは、今世界で活躍している日本人であれば多くの人が一度は感じたことがあることじゃないかなーと思うわけです。
『日本から優秀な人がいなくなる』という話の矛盾
こういう話を有識者の方にすると『そんなことをすれば日本から優秀な人がいなくなり、更に衰退が進む』みたいな話をたまに聞くのですが、じゃあ優秀な人を国内に押し止めることが日本全体のためになるかと言われると、んなことあるわけが無いのは小学生でも分かるわけです。
上でも書きましたが、中国は元々正規留学や国外でのキャリア構築は当たり前で、ジャック・マーなどを筆頭に実際アメリカや国外で学んだ多くの人がいて、母国に持ち帰り次第に深センのような世界に誇るブランドへと昇華させていったわけじゃないですか。今では国外でキャリアを描いていた人間すらも魅了し、それまで国外で活躍していた優秀層すらも取り込むに至ったわけですが、日本はこの流れで言えばまだ外に出るフェーズにすら立っていない。
これで日本国内からすべてが解決する見込みがあるとするならば別にどうでも良いと思うのですが、その見込みが極端に少ないのも明らかであり『日本から優秀な人がいなくなるから困る』のではなく、『優秀であるからこそ国外でキャリアを積み、それ自体を当たり前にするべき』と僕らは思うわけですね。その上で国外で経験を積んだ彼らを迎え入れる準備を日本側でやるのが最も美しい形だと僕は思います。
やるべきことは2つ、国外キャリアの一般化と起業家の海外進出
さて、ここまで話を進めると僕がやりたいことというのも概ね伝わってくれるのかなと思いますが、一つはまず日本の専門職を中心とした国外挑戦の一般化です。今はまだまだ国外でキャリアを積むという行為が特別視され過ぎており、これが現在の中国のように日本国内の市場が急成長しているというのであればまだしも明らかに衰退しており、他国を参考にしても、一度国外でのキャリア構築を一般化しなければ、次の一手も見えてこない状況だと僕は思っているので、20代を中心に日本だけでなく、国外でのキャリアアップを選択肢に入れることをもっと当たり前にすべきだと思います。
これは全員海外に絶対出ろという話では無く「日本はもちろん、海外でも挑戦”出来る”」という、海外に出るということを選択肢に入れた上で日本を見ることが出来る意識作りという意味が大きいです。
加えて、起業家の海外進出の促進。これは言うまでも無いですが、日本の数十倍規模の金が動いているのが分かっているのに、わざわざ小さいパイを食い争わなくてもよくね?という、至極普通の話をしているに過ぎないと思うのですが、当然別に金だけの話では無く、人材、情報、それらすべてどれを取っても同じことが言えると思います。こちらはまだまだ僕自身起業家の話を十分に聞けていないので、色々試行錯誤中です。
ただ上でも書いたよう、日本の起業家の海外進出を促進するためには、そもそも国外で活動している日本人の数をもっと暴力的なまでに増やす必要があると考えています。
Frogがやっているのはあくまでも現時点での日本人のステータスで、国外キャリアを積むとしたらどうするかを一人でも多くの事例と情報を元に提案しつつ、小さな歩幅ですが一歩一歩やれることを積み上げているイメージです。
具体的にはこういう人たちを、あと2000人くらい増えてくれないかなーと思っています。
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最近はようやく彼らのようなプレイヤーだけでなく、起業を視野に入れる人や日本のビジネスをこっちで展開しようと挑戦する方からの相談も受けられるようになり楽しい限りですが、将来的には彼らのような現地で通用した一流のプレイヤーと、日本発の起業家達なんかがつながると尚更楽しそうですよね。
何にしろ、まだまだ圧倒的に数が足りていないので、これからも出来る範囲で頑張りたいなと思います。
とりあえず皆さん、ウチのインタビュー記事でも眺めながら海外進出をイメージする所から是非初めてみてください。で、来る時はウチを頼ってください。
以上、いかがでしたでしょうか。
とりあえず今頭の中で考えていることをダラダラと書いて記事にしてみました。これだけ読むと日系企業と日本人プレイヤーをつなげたいように見えそうですが、現時点の日系企業でつなげたい会社というのはあまり無いので、今は純粋にエンジニアやデザイナーの海外就職をサポートすることに注力して頑張っています。
まぁ難しいこと抜きにしても「そりゃ日本だけじゃなく海外も視野に入った方が選択肢広がって楽しいよねー」っていう頭の悪いシンプルな考えももちろんあるので、理想は掲げつつもとりあえず毎日気楽にやってます。
本当はもっと色々書きたいことはあったんですが、もう昔のようにアホみたいな長文記事は体力的に書けないので、今日はこのくらいにしてまたどっかで書かせてもらえればありたいですね。
今は昔のようにバズる目的でメディアをやってはいませんが、それでもPodcastやYoutubeなどでこぢんまりと情報発信は続けているので、よければ是非見てやってください。
それでは皆さん、良きグローバルライフをー。