Frogを作って9年、現在Frogメンバーと呼ばれる僕等を通してカナダ(一部アメリカ)へ海外就職や移住を目指して渡航した人も380名となりました。たった400人程度と笑われるかもしれませんが、本気で海外進出を目指す人のサポートをしようとすると、今のスキームだとこれが限界。とは言いつつ、Frogも今では北米圏でも最大規模の日系Techコミュニティへと成長したと思いますし、北米を中心として海外就職、移住、起業、ネットワーク作りに至るまで、困ったら頼れる環境。とりあえず僕が15年前にカナダに渡航したとき思い描いた「あったらいいな」は、ほぼ全て実現させることが出来たと思っています。
次の僕等自身のステージとしては、これまで通り技術者サイドのプレイヤーもサポートしつつ、起業家、投資家などの海外挑戦のサポートにも着手し、彼らの国外進出を促すと同時に、すでにFrogメンバーとして活動しているエンジニア、デザイナーへ向けた新たな可能性を提示するステージが必要だと考えている所です。(そんで作る人と起業家と投資家が一つのコミュニティに属したら、それってもうアクセラじゃね?ゲハハという、割りと頭の悪そうな未来絵図を描いてもいます)
そんな中「1000人規模の起業家 米シリコンバレー派遣へ」というニュースを目にし、同時にスタートアップ支援の強化も日本で打ち出されました。ご存知今の日本(2022/07/30現在)は金利を上げたくても上げられず、賃上げ税制のようなわりと良い感じの税制優遇もあったりする中での企業の内部留保が9年連続で過去最高更新し、国として見ても企業として見ても「次に何に誰に投資して良いのかわかっていない、シンプルに日本企業に稼ぐ力が無い」という状態は明白だと僕自身は考えており、人口減少問題もある中で、僕が知る限り唯一の解決策は新たなイノベーション(食い扶持)を日本で起こす他無いと思っている派です。なので、スタートアップや起業家への支援を行うという政策自体は、当然応援したい所ではあるわけです。
しかし『高度技能を持った(または身につけに行く)日本人の海外進出』という文脈で、僕ほど真剣にこの10年を生き、行動した人間もそうはいないんじゃないかなと思うバックグランドの上で、今回の政策については言いたい事が多いのも事実。
その辺の話をさせてもらうために、まず僕が思い描いている未来について、今日は一旦書かせてもらいたいという記事です。
日本にシリコンバレーも深センも出来ない理由
だいぶ前の記事ですが「日本にシリコンバレーが生まれていない6の理由」という2016年に公開された記事があります。シリコンバレーにあって日本に無い物を、非常に多角的に分析した良い記事だと思う。
この中では金融や産業組織、起業家精神など様々な分野でシリコンバレーにある物、日本に無い物などを分析されており、6年経った今となっては少し毛色が違ってきてるのでは?と思う部分はありつつも、概ねのその社会基盤に変わりは無いと感じるわけですね。
僕がFrogのような取り組みを通して解決したいのはこの中で書かれている人的資本の市場、逆に言えばそれ以外は専門外なのであまりわからないわけだけど、この人的資本が日本で重視されない理由については、この15年に渡るカナダ生活と10年に渡る日本人の海外進出支援から、あらかたの予想をつけることが出来ると思うんですね。
「ハイグイ」が日本にいない(少ない)
『最近中国景気悪いじゃん』というツッコミは一旦置いて欲しく、注目して欲しいのは深センが「アジアのシリコンバレー」と呼ばれるほどに、世界各国から注目を浴びた背景の方。
その裏には確実に、中国が行った孔雀計画とハイグイ達の存在があるのは間違いない。
ハイグイとは
「海帰」――海外に留学した中国の若者たちが、祖国に帰って企業を興す。
引用:http://www.peoplechina.com.cn/maindoc/html/200511/teji-1.htm
「海亀」――浜辺に産みつけられた海亀の卵が孵り、大海で大きく育ち、再び浜辺に帰ってきて卵を産み、その卵が孵化する。
「ハイグイ」という言葉にこの2つの意味が込められている。
話はそれて少し思い出話にはなるのですが、僕が15年前カナダへ渡航したとき初めて訪れたCostcoでキャッシャーをしていた中国人のおばちゃんと少し仲良くなったことがあり、その時彼女に「なぜカナダへ来たのか」と聞くと「人生を変えに来た」言っていたのが今でも深く印象に残ってるんですね。
その頃の中国に関して僕は詳しいわけでは無いのですが、おそらくその時の中国事情と背景から逃げるかのようにカナダへ渡り、学と金を得て人生を変えようとしていたのは容易に想像が付きました。
僕がカナダへ渡った頃(2008年のグローバル金融危機直前くらい)の『中国人』といえばそのイメージで、彼らはカナダの大学やカレッジを出たあと、当然のようにカナダ国内の企業に勤め、家を買い、中国では決して得られないライフを満喫するというのが当然の事であったと思います。
ですが今はそうでも無い。以前カナダのUBCという名門大学を卒業したYaoさんの話をPodcastで聞いた際も、今は時代が変わり、UBCの卒業生で中国に帰る人とカナダに残る人なら半々くらいの割合だと聞きました。僕が渡航した15年前だとほぼ考えられない話だと思っていて、もちろん中には中国での競争にビビったり、カナダの環境が合わなかったり、様々な理由からどちらを選ぶか決めるとは思うものの、天秤に掛けるだけの魅力が母国に確かに存在した。というのは、失われた20年だの30年だのと言われている日本が母国である自分にとっては羨ましい存在ではあると思います。(余談ですが、UBC卒の日本人で日本企業へ務める人となるとかなりの少数派だと思われます)
そして彼らは「ハイグイ」と呼ばれ、彼らの誘致に成功した政策がかの有名な深センが行った「孔雀計画」であり、国籍を問わず優秀な研究チームへ当時8000万元(15億円)の資金支援、個人でも100万元(2000万円)相当の助成金を出すなど、大盤振る舞いと言っても良いほどの政策へ打って出たわけですね。
さて、この記事を見てくれている既得な方々に是非問いたいわけですが。
果たして、日本でハイグイは生まれるだろうか?
いや、そもそもハイグイたり得る人たちはどれだけ居るのだろうか?
そして日本は孔雀計画のような政策を打ち出す事が出来るだろうか?
言いたいことはわかってもらえると思うのですが、もちろん僕の答えは絶望的でして、そもそも僕の偏った考えを押し付けて良いのであれば、ハイグイ足り得る人材が日本に極端に少ない今、どんな政策を打ち出した所で、新たなイノベーションを生むという目的で成果は得られないのではないかと考えています。
日本には「正規留学生」の数が極端に少ない
さて、以前も紹介させて頂きましたが上智大学の鈴木教授の研究「語学留学は日本独特の留学形態」にもあるよう、他国は正規留学(大学や専門課程を学ぶ留学)が多いのに対し、日本は語学留学の割合が非常に高い。
試しにバンクーバーの名門大学、UBCの留学生の人種比率を調べてみます。UBCのCSだとCo-opやインターン先、卒業後の進路に当たり前のようにGAFAMクラスの企業が並ぶ、名門と言って良い大学だと思うのでサンプルとして取り上げさせてください。
記事は2017年の記事ですが、総生徒数が63,370人の内、海外から来ている留学生が16,322人。その内中国(4,929), アメリカ(1,594), インド(846), 韓国(504), そして日本(365)と並ぶ。日本の人口の半分もない韓国に抜かれてるってどういう事よ?と、ツッコミを盛大に炸裂させたくてウズウズする数字ですね。
これがアメリカであれば学費、ビザ問題を中心とした卒業後の不安材料などで足がすくむのも理解は出来るのですが、卒業後ほぼ確実に現地企業で就労許可が与えられるカナダですら、これだけの差が生まれているのは看過出来る問題では無いと思うわけです。
ただ、日本人には金が無い…
これで日本人に金があるのであれば「注意喚起!もっと海外の大学を目指そう!」みたいな記事で終わるわけなんですが、20代の金融資産保有額平均287万、30代平均957万円という現実とも向き合わなくてはならないと思っていて。上ではUBCを取り上げたんですが、いくらカナダの大学といえども、入学資格を満たすために必要な期間や方法によっては、数千万円単位での費用が必要となる。そのため、費用的な理由から語学留学しか選択肢が無いという人もいるだろう。また、日本にはそうした国外大学での成功体験や事例もまだまだ少ない、そのため親世代にとっても海外の大学へ入学させるといった行動はまだ凶行にしか映っていない傾向も根深い。
また、日本の新卒制度は(職歴などが伴っていない)社会的弱者にとっては飴のような存在に映る。自身のキャリアが見定められていない大学生にとって、新卒のカードを蹴ってまで海外に挑戦というのは、これまた同じく凶行に映るというのが本音にはなると思う。つまり、金も無ければ理解もないわけですね。
Frogはそんな中で300人以上の海外就職希望者を支援し続けて来られたのは、これらの現実と真摯に向きあったからにほかならず、彼らが海外就職に至るまでに必要だった総予算は平均しても250万~300万円前後といった所(もちろん人による)。最近だとPEOスキームから起業家や、カナダ国外の企業で働く人達のサポートも出来るようになり、これらのスキームと事例が何百件とある事実とコミュニティがFrogの強さになっている。ここにはハイグイ足り得る可能性のある人が少なくとも数百名はいる。マジでこれを無投資自己資金のみで、不完全ながらもコミュティとして形にしてきた自分と仲間達には、拍手喝采雨あられでなんかいい感じの賞とか送りたい。
あと、もちろん大学入学者も応援したい(が、大半の大学のインターナショナルサポートは優秀すぎるので、さほどやることが無いのはある。友達になってください。)
日本でイノベーションが起きるのかという疑問符
ちなみに僕は日本政府の政策や、日本という国に対してそこまで絶望感を懐いてはいない。一人の起業家として、日本がトンチンカンでアホな政策を取っているようにも、バカだとも、住みにくいとも思っていない。もちろん沢山疑問に思う事も多いけど、長い歴史と文化を重んじる日本だからこそ仕方の無い部分もあるだろうし、恩恵もある。また、国外で生きていけてる日本人ならわかってくれると思うんですが、明らかに日本人の持つスペックは国外のそれに引けを取らない。むしろ働きやすさや勤勉さという点では世界トップクラスに優秀だといっても良い。
だがしかし、Winny事件に見られるようなイノベーションに対する弾圧とも取れる考えや行動が日本にはある。Winny事件は有名なのでここでは取り上げないが、世界で最初のP2P、ブロックチェーン技術の先駆者を、日本という社会が潰したという構図については、僕は断じて許すことが出来ない。腸が煮えくり返る思いで、お腹痛い…。
Crunchyrollの例
ここで対比したいわけじゃないのですが一つ、事例を紹介したいと思います。海外に住んでいるアニメ好きなら誰でも知っているのではと思わせるCrunchyrollです。僕は渡航後まもなくして利用し日本のアニメを見まくっているので、10年来のユーザーという事になります。サンフランシスコに本社を置くアニメの配信サービスを運営しており、日本国内からの視聴は出来ないようになっています。
このCrunchyrollですが、元々開設当初は完全にブラックなアニメの違法アップロードサイトでしか無かった。Winny事件で告発された金子氏とくらべても、明らかに悪質であり、当然許される事では無いと思います。
しかしCrunchyrollは爆発的な速度でユーザーを獲得していった、2006年9月に設立され、2008年には日本法人を立ち上げ、同年11月にはテレビ東京と正式契約を結んでいる。あとでWikipediaで確認して欲しいが、目まぐるしい速度で成長を遂げ、2021年段階では有料会員400万人、登録者1億人というとんでもない成長ぶり。最近ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントとアニプレックスの合弁会社であるファニメーションが買収し、これにはソニーナイス!と拍手を送りたい。
さて、一人のCrunchyrollユーザーとしてはこのサイトが力を獲れば、日本に帰国してしか見ることの出来なかったアニメを多く見る事ができるので、ガンガン大きくなって欲しい所だが、問題定義したいのは「なぜこれが日本で作られなかったか?」という事、そして明らかに真っ黒な違法アップロードから端を発したCrunchyrollは成功して、故意に法を犯したわけでは決して無い金子氏が逮捕され、P2Pやブロックチェーンの日本における未来を閉ざす形となってしまったのか。
以前、バンクーバーで行われたバンナムの偉い人のセミナー(たぶんシンガポールでの新規事業を手掛けた中山さんだった気が…)で聞いた言葉を思い出す。
「日本は国外へのコンテンツ配信力が極端に弱い。翻訳も配信も何もかもが遅く、ユーザーは海賊版以外に視聴する方法がない。アニメファンは何が何でも自分の好きになったアニメを視聴したく、本来であれば課金してくれるであろうユーザーを完全に取り逃している」(思い出しながら書いてるので違ったら謝罪)
国外から成功する以外、日本でイノベーションが果たして起こせるのか?
もちろん、どこの日本企業がわざわざ逮捕されるとわかりきっている違法アップロードで事業をなそうというのか、ただ事実として、当時のコンテンツ配信業界の壁を破壊するにはそれしか無かったんだろうし、それが海外からなら可能だった。違法アップロードでしか見ることが出来なかったアニメ視聴者の望みを(褒められた方法では無いとしても)見事に叶え、需要を満たし、場を提供し、正規の方法へと転嫁した上で、名だたる大企業を引き込んだ。
当然、法に触れる事をしろという話では断じてない、だが、これらのイノベーションや市場が見え隠れするたびに、日本の社会はそれをことごとく潰してきた、もしくは応援しなかった。すでに世界に誇れるレベルに確実に達しているアニメコンテンツの配信分野ですら最初のイノベーションは日本の外から起こった。
もちろん個人的な意見としてそれは悔しい。だが、半分は仕方のない事だとも思う。日本ほどに歴史や文化を重んじる国の背景には、逆に歴史や文化を壊さないための考えも必要となる。それがどれだけ僕等の目に横暴に映ったとしても、彼らの背景には彼らの正義がある。ましてや日本は製造業を中心に、世界で稀に見る大成功を収めた国。新しい物を排除しようと僕等の目には見えていても。彼らの目にはこれまで作り上げてきた物や人や成功(利権かもしれない)を守ろうとする正義の心が蠢いている可能性がある。たったの150年しか歴史しかないカナダに15年間住んだ僕としてはなおさらその考えを否定することは出来ないと感じてしまうわけです。
そして、僕等が安心して日本に帰る事が出来るその裏には、もしかしたらそれらの守る心があっての話なのかもしれない。帰国してうまい飯が安くで食えるのも、日本にいる家族が安心して暮らせているその治安も、その恩恵の一つなのかもしれない、その可能性をゼロだと断言することは僕には出来ない。
では、いかにして日本でハイグイとイノベーションを生むのか
さて、話をちょっと戻したい。
中国(深セン)がアジアのシリコンバレーと呼ばれる充実した環境を手に入れたのはハイグイの引き入れ(出戻り)に成功したからであり、もともと国外に大量の優秀人材のプールがあったからに他ならない、その上で様々な政策を行い彼らを惹きつけた事で、アジアのシリコンバレー、イノベーションと市場、そして金が生まれる街になり、それは中国全土へと広がっていき、結果的には中国以外の人々をも惹きつけた。
一方、日本では突然起業家1000人をシリコンバレーに送るという、スタートアップ支援にも力を入れるという。仮に1000人の起業家がシリコンバレーで何かしら得る事に成功したとして、母国へ帰りそれを実行に移せる人材、いわゆるハイグイ達がどれほどいるだろうか?
そして新しいイノベーションや市場を開拓出来たとして、それらを日本で展開出来るのか?新しいイノベーションの裏にはほぼ100%に近いケースで古い市場を壊す可能性がある。それは長らく培った歴史と文化を破壊する行為にしか見えない場合が多い。これが今の…というより歴史と文化を重んじる日本に可能なのか?一度成功した国だからこそ、その難易度が低いとは僕自身には思えない。
もうめんどくさいからハッキリ言えば、皆海外に出ようぜ
さて、1年の執筆ブランクがある中でこれ以上書くのも流石にしんどくなってきたし、なんかリビングで嫁様がずっと呼んでて流石に行かないいけないので、神がかりなスピードで結論を書きたい。
皆、海外に出よう。イノベーションは外から起こそう。海外で成長しよう、世界を見よう、技術を盗もう、沢山海外に出れば日本もヤベーってなる。そのとき日本という国が僕等の目に美しく映るのであれば帰国してハイグイになろう。
起業家も海外に出よう。そもそもアメリカですらVC調達の40%はアメリカ国外から調達してるのに、なんで日本は国外からの調達が0.8%なんだ、理屈で考えておかしい。外を向こう、海外でイノベーションを起こすのもよい、もしくは起こす術を学んだあと、日本が美しく見えるのであれば国内で展開しよう。
投資家も海外に出よう。日本は投資家のコミュニティが国外に比べて狭すぎると思う。国外の企業にもガンガン投資をしよう、アクセラもアメリカを含む国外のアクセラに所属しよう。かっこいい投資家になろう。
あと語学留学生。語学留学をやめよう。上で研究ノートでも紹介したけど日本だけだよ英語勉強しに海外いくのがこんなに多い国なんて。大体元々「留学生」ってのは「るがくしょう」と呼ばれ、まだ航海術が未発達だった頃に命掛けて海を渡ってしか学べない事を学びにいく人のことを指してたんだよ。語学留学は留学じゃないと僕は思ってる、観光だ。観光で得られることも大事だと思うけど、留学するなら英語以外の目的も持とう。(語学留学大事派の意見もわかるけど、僕はこっち派だよごめんよ)
日本で頑張る皆様、国外に居る僕等が帰りたくなる国を作って欲しい。ただのお願いにしかなってないけど、僕等は確実に日本で必要とされる知識と経験を持っている。外国人として他国で頑張るってのは、ダンベル背負ってフルマラソン走りつつ、たまに罵声を浴びせられるような行為で常に様々な尺度で現地の人たちとも天秤に掛けられる、どうあがいても辛くなりやすい、それらを乗り越えた僕たちは必ず必要とされる。選挙にも行こう、そういう国造りに貢献してくれそうな人に投票しよう(在外投票はしてるよ)。あと海外に居るってだけで「非国民」って書いて罵倒メールを僕に送るのは止めよう。20通目くらいから先はもう読んですらないよ。
1000人のシリコンバレーで頑張る人へ。割りとマジで『喋ろう』。何度か英語圏の企業で通訳的なことをする現場を見てきたけど、マジで時間の無駄だと思わせる引き合わせが多すぎだと思う。ここまで書いてきたことが理由で、僕はこの政策自体で何かが大きく変わるとは思っていないけど、何もしないより良いとは思っている。ただ、行ってダンマリ決め込むのは、流石にもったいなさすぎる。通訳はいるだろうし、多くの人と喋り、多くを得る覚悟は持ってほしい。あと「持ち帰って検討します」みたいなノリはできればやめてほしい。
アメリカしか見ていない人へ。カナダもちょっと見て欲しいなぁ。僕の尊敬するカナダのアルバータ大を出た情報科学者、暦本純一氏の記事を貼っとくので見てほしい、わりとカナダが合っていると思える人はいると思う。もちろん僕もアメリカをいつかは目指したいと思っているけど、自己資産のみで経営してきた背景からもわかる通り、僕は起業家としては相当臆病。思想で仕事するタイプだし、正直向いてないと常々思う。そんな僕から見て、現在のアメリカはどうあがいても運ゲーの要素が大きすぎる、あと保守強すぎる。アメリカで頑張ってる知り合いは多いけど、どんなことをしてでも結果を出すという強い意志が彼らにはあり、それは僕のスタイルとは(現時点では)合っていない。ガッツのある人間しか海外でやっていけないわけじゃない、その証明はカナダがしてくれてると僕は思う。最近はYoutubeで情報発信したり、グローバルで活躍する人と話しまくるPodcastやってたり色々してるので、様々な角度から自分にあった場所を選んで欲しい。
海外へ出る全ての人へ、多様性を身に着けて欲しい。僕にはアラブ系の友達がいて、そいつは毎回のように遅刻してくるヤツだった。ある日彼に怒ったんだけど、彼が言うには「遅刻するのは神様がそうするように仕向けたからなんだ、つまり神様が決めたことなんだ」みたいな言い訳だった。当然僕は引き続き激怒したけど、そこで一呼吸置いて考えてみる。「遅刻は本当に悪なのか?」「そういう文化背景で生きてきた人の立場に、僕は立てているのか?」そうやって一呼吸考える。もちろん考えた上で僕にとっての遅刻は悪だからやっぱり怒ったわけだけど、大事なのはその一瞬、疑問を持つことが出来たという事実の方。これから様々な考えに接する事になると思うけど、決めつけてかからない。常に自分の考えに疑問を持つ姿勢。マイノリティーな人と接するときなんかは特に、これが彼らにとっても、自分たちにとっても居心地の良い場所を作ることにつながる。僕としては英語より100億倍重要で、外国人というマイノリティーになるからこそ得やすい大切なことだと思う。
そうやって多くの人が海外で挑戦していく過程で、多くのハイグイを生みだしたい。その結果、日本という国がハイグイを迎え入れる体制を作って欲しい。おそらく人材流出だとぶっ叩かれる事にはなると思うけど、俺は10年間この未来を見てきたわけで、天変地異が起ころうとも止まる事は無いし、僕はこれが一種のビルドアンドスクラップに繋がる方法だと信じている。
もし違うと思ってくれるなら、その違う方法で日本の未来を描いてほしい。そうして多方面から違うアプローチをかけ続ける中で、新しい取り組みにつながることなんて多々ある話。皆自分の信じる可能性に投資しよう、そして信じる物があったら盲目になって突っ走ろうぜブラザーヤッホイ。俺らの未来は明るいぜ。